タイトル | いるのいないの |
著者 | 京極夏彦 / 著 町田尚子 / 絵 |
シリーズ | 怪談えほん 第3巻 |
あるひ ぼくはまた
はりのうえの くらがりを みていた
そしたら。
「いるのいないの」本文より抜粋
おばあさんの家で「ぼく」が見たものは
田舎にあるおばあさんの家で、おばあさんと2人で暮らすことになった「ぼく」。おばあさんの家は古い。古い柱、畳と板でできた床、家の中はお昼間でもなんだか薄暗い。見上げた頭上の天井は高く、太い梁が何本も渡っているその上は、光も届かず暗くて見えない。うんと上に明かりをとるための小さな窓が一つ見えるだけ。ある日、「ぼく」がまた梁の上を見ていると・・・
今までに無い、本格的なホラー絵本
所詮は絵本と侮るなかれ。大人が読んでもしっかり怖い。 物語は、「ぼく」の視点と、「ぼく」とおばあさんとの会話で進んでいく。文章だけならば薄ぼんやりとした想像だけで済むが、これは絵本だ。絵を担当している町田尚子さんの描く絵によって、おばあさんの住む昔ながらの日本家屋の、どこか不気味な雰囲気や、剥き出しの裸電球や、天井に張り巡らされた太い梁のその奥にうずくまっている仄暗い闇さえも、全ての恐怖が細部まで表現されている。 文章にも絵にも、子供への媚びや侮りが一切感じられない。まさしく、子供にとっても大人にとっても「情け容赦のない」怖い絵本である。